【複合マイノリティだからこその視点で幅広い「生きづらさ」に目を向けたい】大石怜奈/学生団体YouthLINK

LGBTQIA+

今回は、学生団体YouthLINKにて、生きづらさを感じている学生同士が分かち合いできる場を提供している、大石怜奈(おおいしれいな)さんにインタビューをしました!

 

参加者の連絡先を聞かない?

学生団体YouthLINKはどのような場を運営していますか?

YouthLINKが運営するVoice sharingをコミュニティとは考えていなくて、私たちはコミュニティであるとは考えていなくて、分かち合いの場だと捉えています。

ちなみに、参加者とは連絡先を交換していません!

YouthLINKでは、コミュニティとして交友関係を築く形ではなく、知り合いじゃないからこそ話せることがあると考えているからです。

同じ学生同士という共通点はありますが、深く知っている仲ではないからこそ、普段では話しづらい悩みなどを分かち合うことができていると思います。

分かち合いの場ではどんな話をしていますか?

Voice sharingは、話のテーマを特に定めていません。
「テーマを決めないで生きづらさを語れる場」であることを大切にしています。

休学や留年の経験や就職活動、これから社会人になれるのかという葛藤であったり、精神疾患の話であったりと、参加者それぞれの悩みに関するトピックが出てくることが多いかな、とは感じています。

また、Voice sharingの途中には、悩みや生きづらさばかりを話すわけではなく、前後の休憩の時間も設けています。
わたしは休憩時間に、最近ハマっているゲームの話などといった雑談を持ちかけるようにして、気持ちの切り替えができるよう工夫しています。

幼少期から感じていた生きづらさ

「生きづらさ」に関する活動を始めたきっかけはありますか

話すと長くなるのですが、少しずつお話をしますね。

わたしの母は、わたしが幼い頃に脳卒中で倒れて高次脳機能障害になり、視界の半分を失ったうえで、言語障害になりました。

わたしが小さい頃は母と父が相次いで入院していたので、養育者が1週間ごとに変わり、精神的に大変な生活を送っていたのを覚えています。

さらに、小学校ではいじめられていていました。
いじめの原因のひとつは、「わたしの言葉のイントネーションがおかしいから」でした。

当時のわたしは、母親の言語障害の影響を大きく受けていて、言葉のイントネーションが周りの子とは全く異なりました。
このように、家庭環境が大変な状況であったり、後に自閉症スペクトラムという発達障害の診断を受けたりしており、コミュニケーションに苦手意識を感じていました。

その状況から抜け出すために中学受験をして、偏差値70の中高一貫の女子校に進学しました。
しかし、女子校に通う違和感音が大きい電車に長時間乗る苦痛から、中学1年生の秋以降、学校にはあまり通えなくなってしまいました

13歳から20歳まで、うつ病の診断を受けていました。
疲れやすい状態が長い間続き、週2日ほどしか頑張ることができず、大学受験に向けての勉強も中学受験の頃のようにはできませんでした。
それでも、なんとか通信制高校に進学して卒業し、短期大学を退学してから、現在通っている立正大学に入学しました。
しかし、大学にも上手く通うことができず、孤立してしまいました。

数回の自殺未遂をして入院し、休学届を親に出されていたうえで、精神障害者手帳を取得したことが活動を始めたきっかけです。
せっかく精神障害者手帳を取得したのだから、友達がいない立場を活用して、自分みたいな人を集めて友達を作ることはできないのか?」と思いつきました。
そのとき「悩む暇がないくらい予定を入れろ」と背中を押してくれた人にはずっと感謝しています。

活動の原動力とは

大変だったことを教えてください

偏差値70の中高一貫校を辞めて通信制高校に進学したら、世間の目が変わったことです。
進学校の生徒」ではなく「通信制高校の生徒」、「精神疾患持ち」、「セクシュアルマイノリティ」、「発達障害」、「女性」のようなレッテルで人は扱い方を決めるのだと気が付いたとき、自分を見てくれる人がいなかったと分かり、絶望しました。

また、わたしみたいな少数派の人間がいることが前提になっていないと気づいた時も傷つきました。
例えば、予備校が主催する模試を受けたとき、会場で「クラス・出席番号の欄が必須記入欄になっているが、通信制高校にはクラス・出席番号がないので書けません」と申告したら、大人たちが会議を始めたことがありました。
少数派がいることが前提になっていない社会に、ずっと悔しさを感じているので、今も発信力を磨いています。

悔しさから発信を始めた理由は?

悔しいと思った時に自分が声をあげることで、他の人はその言葉をかけられずに済むかもしれないですし、同じく悩みを抱えている人が「自分だけじゃない」と思えるかもしれないと思っているからです。

複合マイノリティだからこその視点で幅広い「生きづらさ」に目を向けたい

最後に、LGBTQ+当事者への想いを教えてください

私のように、自分たちがここにいることが前提とされていない社会制度や雰囲気に何度も落ち込んだ人はいると思います。
さらに、様々な理由でLGBTQ+コミュニティの中で傷ついた経験のある人もいると思っています。

だからこそ、複合マイノリティの私は、セクシュアルマイノリティもそれ以外にも幅広く「生きづらさ」に目を向け続けたいです

特に、私自身は様々なマイノリティを抱えているので、「LGBTQ+当事者」に「発達障害のリアル」を届けたり、「発達障害当事者」に「ヤングケアラーのこと」を届けたりして、様々な範囲の発信をしていきたいです。

悩んでいる学生がいれば、ぜひYouthLINKのVoice sharingに来てみてください。
※YouthLINKのVoice sharingは大学生・大学院生・短期大学生・専門学校生が対象

学生団体YouthLINKの詳細

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